[緑内障について]
2023年8月9日
緑内障は、「視神経と視野に特徴的変化を有し、通常、眼圧を十分に下降させることにより視神経障害を改善もしくは抑制しうる眼の機能的構造的異常を特徴とする疾患である。」と定義されています。難しい表現ですので簡単に説明したいと思います。
眼の奥にある網膜には元々120万本程度の神経線維があり、それらが視神経乳頭から眼外に1本の束(=視神経)となって出ていき、脳に到達します。物を見て光が眼の中に入ってくると、網膜の視細胞で光を感じ、その電気信号が神経線維を通って脳まで伝達され、見えたと認識されます。
この重要な神経線維が死んでしまい、その部位に対応した視野が欠損してしまうのが緑内障です。神経は基本的には再生をしないので、一度欠けた視野は元には戻りません。そのため、緑内障は早期に発見し、早期に進行予防をすることが重要になります。
緑内障は眼圧が上がる病気という認識が強いと思います。そのようなものも含まれますが、一番多いのは眼圧が正常にも関わらず起こる「正常眼圧緑内障」 です。
他に、水の通り道である隅角が狭くなって眼圧が上昇し生じる閉塞隅角緑内障、隅角が開いているのにその先の水の通り道に流出抵抗があるものなど、様々な病態があります。
治療は、眼圧を下げる(正常眼圧緑内障においても)ということが第一です。
まずは点眼薬で眼圧を下げます。水の通り道である隅角にレーザーをあてて水の通りをよくする治療もあります(選択的レーザー線維柱帯形成術)。
閉塞隅角緑内障で白内障手術により隅角が広がり眼圧が下がることが予想されれば、白内障手術を行います。
隅角が開いているけれども眼圧が高い場合には、白内障手術をする際に隅角の線維柱体という部位を切って眼圧を下げることもあります(線維柱体切開術)。
上記方法でどうしても眼圧が下がらない場合には、線維柱体切除術という方法やインプラントという器具を用いて眼の中の水を眼外へ流すという手術もあります。
どのような治療が必要かは、患者さん一人一人違うために、検査結果を説明した上で一緒に選択していくこととなります。
当院では、点眼加療、選択的レーザー線維柱帯形成術、線維柱体切開術を行います。
線維柱体切除術は基本的に大学病院への紹介となりますが、ご高齢でどうしても通えないなどの際には当院で行うこともできます。
※より深く理解されたい方には、日本緑内障学会のホームページに一般向けの動画なども公開されているのでご参考にしてください。
https://www.ryokunaisho.jp/