[硝子体手術について]
2024年1月23日
硝子体手術とは、眼の中の硝子体というゼリー状の組織を除去して、網膜硝子体の病気を治す手術です。
適応疾患は、黄斑円孔、黄斑上膜(網膜前膜などとも言います)、硝子体出血、糖尿病網膜症、網膜剥離、水晶体脱臼、人工レンズ脱臼、黄斑下出血など多岐にわたります。
手術方法としては、まずベッドに仰向けになっていただき点眼麻酔をした後、まぶたと眼の表面を洗浄し、清潔な布を顔にかぶせます。
麻酔はテノン下球後麻酔という方法をとっています。局所麻酔で眼球運動が抑制され、また暗く見えるようになるので、眼がキョロキョロと動いてしまったり、手術中に見えて怖いということはありません。
白内障がある方は白内障手術を10分程度で施行し(若い方などでは行わないこともあります)、硝子体手術に移ります。
硝子体手術では、器具の出し入れをするための小さな孔(0.4〜0.5mm程度)を3~4か所白眼に開けます。
そして、硝子体を細いカッターで切りながら吸引除去します。途中、虹彩裏側の死角になる部分を処理するため、眼球を外側から内側に圧迫します。その際に少し痛みを感じられる方もいますが、痛みがある場合は麻酔を追加します。
その後の手術内容は疾患により異なります。
黄斑円孔や黄斑上膜では、細いピンセットのような器具で膜を除去します。網膜剥離や糖尿病網膜症などではレーザー照射を行います。
硝子体切除後の眼球内部は、液体や空気、ガス、シリコーンオイルで置換して手術は終了となります。
黄斑円孔や網膜剥離では、網膜をしっかりとくっつける必要がありますので、ガスを注入します。網膜にガスがよくあたるよう術後はうつむき姿勢を保っていただきます。ガスは2週間ほどでなくなります。
難治性の網膜剥離など特殊な症例では、シリコーンオイルを眼の中に入れて終わることもあります。シリコーンオイルは自然吸収されませんので、1か月程度で抜去するために再度手術が必要になります。
手術時間は疾患とその重症度により異なりますが、30分から90分程度です。
当院では、術後合併症を防ぐため、硝子体をなるべく残さないように丁寧な方法で硝子体を除去しています。
緊急手術が必要だが対処できない場合や、全身麻酔が必要な場合には、信頼のおける大学病院を紹介させて頂きます。
※日本眼科学会のホームページにも一般向けの説明が載っていますので、各疾患の詳しい説明は下記をご参考にしてください。
黄斑円孔
https://www.nichigan.or.jp/public/disease/name.html?pdid=41
黄斑上膜
https://www.nichigan.or.jp/public/disease/name.html?pdid=42
糖尿病網膜症
https://www.nichigan.or.jp/public/disease/name.html?pdid=49
網膜剥離